アリラン・ブックトーク

ハイブリッド開催、後日録画配信あり

♦はじめに♦

文化センターアリランではこれまで、毎年度テーマを定め日本と朝鮮半島の近現代史をテーマとする連続講座を開催してきました。講座では日本の植民地主義と南北の分断により歪められた朝鮮観・在日朝鮮人観をただすという問題意識に基づき、歴史研究者を招いた講義を実施し、多くの方よりご好評をいただいて参りました。

今年度の連続講座はこれまでの問題意識を継承しつつ「アリラン・ブックトーク」へと装いを新たにして開催いたします。南北朝鮮及び在日朝鮮人を主題として刊行された図書の著者・訳者をゲストとして招き、本を刊行した経緯や問題意識、内容についてお話をしていただきます。市民に開かれた図書館としての当センターの役割を果たすべく、あわせて関連する書籍の紹介も行う予定です。

本講座は対面とオンラインを併用するハイブリッドの形式で実施いたします。またチケットをご購入いただいた方には動画の後日配信も行う予定です。

ぜひ多くの方にご参加いただければ幸いです。

 

第1回 

2023年1014日(土) 15:0017:00

真鍋祐子さん(東京大学東洋文化研究所教授)

朴來群(真鍋祐子訳)韓国人権紀行 私たちには記憶すべきことがある
(高文研、2022年)

 

第2回 

2023年11月4日(土) 15:0017:00

 愼蒼宇さん(法政大学社会学部教授)

姜徳相聞き書き刊行委員会編 時務の研究者 姜徳相:在日として日本の植民地史を考える(三一書房、2021)

 

第3

2023年12月9日(土) 15:0017:00

洪潤実さん(朝鮮大学校文学歴史学部助教)

ペク・ナムリョン(和田とも美訳) (小学館、2023年)

 

第4回 

202年1月13日(土)  15:00~17:00

中野宣子さん朝鮮語翻訳、講師

黄晳暎(中野宣子訳)囚人 黄晳暎自伝(1・2)(明石書店、2020年)

 

回 

202年2月1日(土) 15:00~17:00

宋恵媛さん(大阪公立大学文学研究科教授)

宋恵媛編越境の在日朝鮮人作家;尹紫遠の日記が伝えること:国籍なき日々の記録から難民の時代の生をたどって(琥珀書房、2022年)
宋恵媛・望月優大共著『密航のち洗濯 ときどき作家』(柏書房、2024年)

 

第6回 

202年3月9日(土) 15:00~17:00

五郎丸聖子さん(歴史研究家)

五郎丸聖子著『朝鮮戦争と日本人 武蔵野と朝鮮人』(クレイン、2021年)

 

第7回 

202年4月20日(土) 15:00~17:00

林典子さん(フォト・ジャーナリスト)

林典子著『フォト・ドキュメンタリー朝鮮に渡った日本人妻—60年の記憶』
(岩波新書、2019年)

 

第8回 

202年5月18日(土) 15:00~17:00

渡辺直紀さん(武蔵大学教授)

『北の詩人』と林和

松本清張著『北の詩人(新装版)』(角川文庫、2022年)

 

第9回 

202年6月1日(土) 15:00~17:00

板垣竜太さん(同志社大学教授)

板垣竜太著『北に渡った言語学者:金壽卿 1918-2000』
(人文書院、2021年)

 

第10回 

202年7月13日(土) 15:00~17:00

宋連玉さん(文化センター・アリラン館長)

宋連玉著『植民地「公娼制」に帝国の性政治をみる』(有志舎、2023年)

 

第11回 

202年9月28日(土) 15:00~17:00

愼蒼宇さん(法政大学教授)

愼蒼宇著『朝鮮植民地戦争:甲午農民戦争から関東大震災まで』(有志舎、2024年)

 

第12回 

202年10月26日(土) 15:00~17:00

李栄さん(ザ・サードアイコーポレーション代表取締役)

李良枝著『ことばの杖 李良枝エッセイ集』(新泉社、2022年)

 

第13回 

202年11月30日(土) 15:00~17:00

古川美佳さん(朝鮮美術文化研究家)

金伊京著 尹錫男絵 宋連玉、金美恵訳『帝国主義と闘った14人の朝鮮フェミニスト—独立運動を描きなおす』(花束書房、2024年8月)

 

第14回 

202年12月21日(土) 15:00~17:00

斎藤真理子さん(翻訳家)

斎藤真理子著『在日コリアン翻訳者の群像』(SURE、2024年10月)

 

第15回 

2025年2月15日(土) 15:00~17:00

金迅野さん(立教大学 特任准教授)

金迅野、風巻浩著『ヘイトをのりこえる教室:ともに生きるためのレッスン』
(大月書店、2023年)

 

第16回

2025年4月12日(土) 15:00~17:00

緒方義広さん(福岡大学 人文学部准教授)

緒方義広著『韓国という鏡:新しい日韓関係の座標軸を求めて』
(高文研、2023年)

 

第17回

2025年5月17日(土) 15:00~17:00

高榮蘭さん(日本大学 文理学部教授)

高榮蘭著『出版帝国の戦争:不逞なものたちの文化史』
(法政大学出版局、2024年)

 

第18回

2025年6月21日(土) 15:00~17:00

呉世宗さん(琉球大学 人文社会学部教授)

キム・スム著、孫知延訳『沖縄 スパイ』
(インパクト出版会、2025年)

 

第19回

2025年7月26日(土) 15:00~17:00

深沢潮さん(小説家)

深沢潮著『はざまのわたし』
(集英社インターナショナル、2025年)

 

第20回

2025年9月13日(土) 15:00~17:00

早尾貴紀さん(東京経済大学 教員)

早尾貴紀著『パレスチナ、イスラエル、そして日本のわたしたち――<民族浄化>の原因はどこにあるのか』
(皓星社、2025年)

 

第21回

2025年10月11日(土) 15:00~17:00

野川義秋さん(自主講座・埼玉文学学校 事務局長)

鄭栄桓さん(明治学院大学 教員)

金泰生著『私の日本地図』、『旅人(ナグネ)伝説』
(琥珀書房、2025年)

 

第22回

2026年2月14日(土) 15:00~17:00

森類臣さん(摂南大学国際学部准教授)

孫石煕著、権学俊訳『場面:報道の現場から見つめた韓国社会』
(法政大学出版局、2025年)

 

第23回

2026年3月21日(土) 15:00~17:00

松井理恵さん(跡見学園女子大学 観光コミュニティ学部准教授)

村松武司著、松井理恵、斎藤真理子解説『朝鮮植民者:ある明治人の生涯』
(皓星社、2025年)

 

第24回

2026年5月17日(日) 13:00~15:00

朴希沙さん(在日コリアンカウンセリング&コミュニティセンター zac)

朴希沙著『歴史的トラウマと日常を結ぶ心理臨床:在日コリアンに対する実態調査
(明石書店、2026年)

 

♦参加費♦

一般:1,000円

学生/何かしらの困難を抱えている方:600円

 

♦お申し込み方法♦

以下のURLからログインしてお申し込みください。

https://arirang.peatix.com/

◆参加方法と留意事項◆
・事前予約制となります。
・ハイブリッド開催(会場参加・オンライン配信)で、後日録画配信を予定しています。
・お申込みされた全ての方が「後日配信」を視聴いただけます。
・peatix内の「確認・留意事項」を必ずご確認いただき、お申込み下さい。

<NPO法人 文化センター・アリラン 特別企画>朝鮮「解放1年・分断80年」の歴史が投げかけるもの

2025年は朝鮮の解放から80年となります。第二次世界大戦における日本の敗戦にともない、朝鮮民族は植民地支配から解き放たれました。しかし、続く米ソによる分割占領を経て、1948年には南北に二つの政権が樹立されたまま、今日にいたるまで分断体制が継続しています。また、1950年に勃発した朝鮮戦争はいまだ停戦状態のまま終結していません。

私たちはこのように、2025年を「分断80年」として迎えざるをえなかったことの重みに目を向け、改めて朝鮮民族、ひいては日本を含む東アジアの現代史の課題について考えるための講演会を開催いたします。講師には解放直後の「朝鮮人民共和国」に関する研究やブルース・カミングスの大著『朝鮮戦争の起源』の訳者として知られる、朝鮮現代史研究者の林哲さんを迎え、「朝鮮『解放1年・分断80年』の歴史が投げかけるもの」というテーマで講演をしていただきます。

なぜ「分断80年」だけでなく、「解放1年」に注目するのでしょうか。南北分断は1948年に始まったものと考えられていますが、実際には新たな朝鮮の社会変革をめぐる民衆と米占領軍・旧親日派勢力の対立は1945年にすでに生じていました。そして「解放1年」には人びとの様々な思想や実践、そして連帯の豊かな経験が積み重ねられました。しかし、この歴史は分断体制を作りあげていった暴力によって隠されていきました。この封じ込められた「解放1年」の歴史に改めて光をあてることで、「分断80年」を乗り越える知見を得ることができないか。それがこの講演会を企画した問題意識となります。

解放から80年が経ったにもかかわらず、在日朝鮮人を含む朝鮮民族の悲願であった祖国統一への道は容易に見通せない状況にあります。本講演会が朝鮮の統一と平和に関心を持つ方々の力になることを願っています。

♦講師♦

林哲さん(津田塾大学名誉教授)


1946年ソウル生まれ。早稲田大学第一政経学部政治学科卒、東京大学大学院社会学研究科国際関係論博士課程修了。
津田塾大学学芸学部国際関係学科教授。近現代朝鮮史、東アジア国際政治史専攻。著書に『東アジア近現代史』(共著 有斐閣1990年)、『「在日」から考える 20世紀を生きた朝鮮人』(共著 大和書房 1998年)、訳書に徐仲錫『現代朝鮮の悲劇の指導者たち』(共訳 明石書店 2007年)、ブルース・カミングス『朝鮮戦争の起源』1,2上,2下(全3巻)(共訳 明石書店 2012年)。
論文に「亡命運動家鄭敬謨先生の生涯と時代」(『平和・コミュニティ研究』第12号、立教大学平和・コミュニティ研究機構 2022年)

♦日時♦

2025年12月13日(土)15:00~(開場14:15~)

♦場所♦

2階 FUJI
東京都新宿区新宿5-15-14 INBOUND LEAGUE 2階

♦参加費♦

一般:1,000円
学生/何かしらの困難を抱えている方:600円

お申し込み方法♦

以下のURLからログインしてお申し込みください。
https://arirang-speciallecture2025.peatix.com/

関東大震災100年特別講演 姜徳相先生の関東大震災研究について

ハイブリッド開催・後日録画配信有り

◆講演概要◆

文化センターアリランの創設者であり、長らく館長を務められた故・姜徳相先生は、朝鮮近代史研究者として朝鮮独立運動や朝鮮人学徒動員などの分野で多くの業績を残してこられましたが、なかでも最も重要な業績の一つは関東大震災時の朝鮮人虐殺に関する研究でした。関東大震災40周年の1963年に『歴史学研究』に論文を発表されて以来、朝鮮人虐殺を権力犯罪として捉える視角のもと数多くの研究を世に送り出し、とりわけ1975年に刊行された『関東大震災』(中公新書、後に青丘文化社、新幹社より再刊)は50年近くが経った今日でも古典的研究として読み継がれています。また、琴秉洞氏とともにみすず書房より1963年に刊行された資料集『現代史資料6 関東大震災と朝鮮人』は、その後の研究の土台となりました。本講演では、関東大震災100周年を機に改めて姜徳相先生の関東大震災研究の意義を振り返りたいと思います。

◆講  師◆

鄭 栄桓(チョン・ヨンファン)さん

(明治学院大学教員)

明治学院大学教員。1980年千葉県生まれ。一橋大学社会学研究科博士課程修了(社会学博士)。専攻は朝鮮近現代史・在日朝鮮人史。著書に『歴史のなかの朝鮮籍』(以文社、2022年)、『忘却のための「和解」『帝国の慰安婦』と日本の責任』(世織書房、2016年)、『朝鮮独立への隘路 在日朝鮮人の解放五年史(法政大学出版局、2013年)などがある。

◆開催日時◆

9月1日(金)開演 19:00(講演が配信される予定の時間)

(会場の入場・受付開始 18:30)

◆スケジュール◆

19:00~ 開会のあいさつ 朴英智(文化センターアリラン理事長)

19:10~ 講演

20:40~ 質疑応答

20:55~ 閉会

◆参加方法と留意事項◆

※事前予約制です。以下のURLから申込みしてください。

https://arirang-9-1kouen.peatix.com/

<< 共通の確認・留意事項 >>
・お申込みはチケット1枚でお一人の参加・視聴となります。
・関係者以外の方の配信映像の無断撮影・録画・録音行為は禁止です。
・配信用URLや配布資料などの転送、SNSなどネット上への転載は禁止です。
※発覚した際はイベントを中止する事があります。

<会場参加の確認・留意事項>
・事前申し込み無く来場されてもご入場は出来ません。ご了承ください。
・お守りいただけない方、ならびに進行を妨げる方は、主催者側の判断によりご退場いただく場合がございます。

<オンライン配信の確認・留意事項>
1)配信用URLと資料は、前日の夕方頃に、メールにてお送りします。
2)配信中に、配信トラブル等やむを得ない事情によりURLを切り替え変更する場合があります。その場合、変更したURLはメールでお送りしますので、必ずメールを確認出来る状態でお願いします。
3)配信中に変更のお知らせメールを確認出来ない方は、必ず事前に主催者側にお知らせください。

◆お申込み締切り◆

・第一締め切り:2023年9月1日12時00分
(リアルタイムでご参加いただけます)
・第二締め切り:2023年9月2日12時00分
(後から配信のみご覧いただけます)

2022年度 文化センター・アリラン連続講座<オンライン開催>

2022年度 文化センター・アリラン連続講座(オンライン開催・全9回)

*各回ごとにPeatixでお申し込みを受け付けます。 こちらをクリック
加費(各回):一般 1,000円    
           :学生・経済困難のある方・障害のある方 600円

*全9回通し券(7,200円)を用意しております。
通し券をご希望の方は、アリランまでメールでお問い合わせ下さい。

「朝鮮現代史における平和と統一の課題」

平和と統一をいかに実現するか――これは、朝鮮現代史のもっとも重要な課題であるといえます。日本の植民地支配からの解放後、朝鮮半島は南北に分断され、米ソ対立の最前線となりました。そして1950年には分断の矛盾が戦争へと発展し、さらには国際紛争へと拡大していきます。この過程で膨大な人命が戦闘や虐殺、爆撃により失われ、さらに多くの人々が傷つき、離散家族が生まれました。戦争は1953年に停戦となりましたが、その後平和条約締結のための交渉は進まず、今日にいたるまで終戦は実現していません。

朝鮮の分断と戦争は人々にどのような暴力となってあらわれたのでしょうか、また、平和と統一を実現するため、人々はいかに苦闘したのでしょうか。2022年度の文化センター・アリラン連続講座は、これらの問いに答えるべく、「朝鮮現代史における平和と統一の課題」をテーマとして開講いたします。

この問いについて、本講座では第一に世界史的視点に立ってこの課題について考えてみたいと思います。朝鮮戦争は南北の戦争であると同時に、米軍を中心とした「朝鮮国連軍」や、中国人民志願軍が参戦したことからもわかるように、世界中の国々が参戦した国際的な戦争でした。それゆえに戦争の終結問題は、南北朝鮮のみならず冷戦下における世界史的な課題の一つでした。世界の国々にとって朝鮮の平和と統一の問題はいかに議論されたのでしょうか。第三世界の勃興、ベトナム戦争、米中国交回復、そしてソ連東欧社会主義圏の崩壊に至る歴史のなかで考察します。

第二に本講座では日本の役割に注目します。日本では朝鮮戦争の終結という課題とは残念ながら切実なものと認識されていません。それどころか戦争の終結を食い止めようとするような発言が公然となされているのが現状です。しかし、日本が「基地国家」としての役割を果たさなければ、米軍は朝鮮戦争を遂行することは困難でした。今日の朝鮮戦争終結のための努力に対する冷笑的姿勢の根源をたどるためにも、日本のこうした「戦後」のあり方を歴史的に問いなおすことが急務と考えます。

最後に、本講座では在日朝鮮人の統一と平和のための取り組みに光をあてます。海を隔てた母国の統一と平和のため、在日朝鮮人たちは困難な条件のもとで様々な実践を試みてきました。朝鮮戦争下の反戦運動や1960年の四月革命、そして韓国民主化運動と在日朝鮮人たちがいかなる連帯を希求したのかをたどります。

朝鮮の統一と平和に関心を持つ多くの方々にご参加いただければ幸いです。

*開催時間はいずれも午後2時から午後4時半を予定しています。

*現在のところ見逃し配信は予定しておりません。ご了承ください。

第1回 2022年6月25日(土

小林知子「『不戦アジア人権を守る会』の経験について考える:終わらない朝鮮戦争と東アジアにおける平和構築の課題」

朝鮮戦争下の日本社会で、日本で特殊訓練を受けていた中朝捕虜問題を追及し、休戦協定の成立を願って在日朝鮮人・在日中国人・日本人が共に展開した「不戦アジア人権を守る会」の活動について、町田忠昭『鹿地事件の覚書』を検証しながら紹介する。この運動の礎にあった「不戦アジア」の意思について、あらためて考える機会としたい。

第2回 2022年7月23日(土)

藤目ゆき「朝鮮戦争基地としての日本の形成と展開:連合国対日占領軍による民間人被害の視点から」

「8・15」終戦史観にも「突如として朝鮮で戦争が始まった」という見方にも共通の虚構性がある。日本在住民間人の占領軍被害実態を見ると、占領軍は終戦直後から基地拡張工事と軍事訓練を重ね、朝鮮戦争勃発以前に日本を基地化し、多数の老若男女が殺傷されている。朝鮮戦争下の日本では「演習」被害のみならず、「実戦」被害も多発した。

第3回 2022年9月24日(土)

高林敏之「植民地主義的戦争としての朝鮮戦争」

朝鮮戦争において朝鮮民主主義人民共和国と戦うために派遣された米軍主導の「国連軍」。その参加21ヵ国を紐解くと、朝鮮戦争が反共軍事同盟の拡大と密接に結びつき、植民地主義的な性格の濃厚な戦争であったことが分かります。本講演ではアフリカからの参戦国2ヵ国に特に焦点を当て、朝鮮戦争の植民地主義的性格を検討します。

第4回 2022年10月22日(土)

鄭栄桓「韓国四月革命と『民族日報』:その統一論を読み解く」

1960年3月から4月にかけて、不正選挙に抗議する人々のデモが韓国全域に広がり、ついに李承晩政権を下野・亡命に追い込みました。「四月革命」と呼ばれるこの出来事により、抑えつけられていた言論が息を吹き返します。なかでも1961年2月に創刊された『民族日報』は南北統一を訴えて注目を浴びましたが、1961年5月に軍事クーデターにより権力を奪取した朴正熙政権により廃刊処分を受け、社長の趙鏞寿は死刑に処されました。わずか3ヶ月のみ存在した『民族日報』は何を訴えたのか。その統一論を中心に検討します。

第5回 2022年11月19日(土)

林裕哲「朝鮮民主主義人民共和国と第三世界:1960年代を中心に」

植民地からの独立・従属からの自立を目指す第三世界諸国の運動は、1955年のバンドン、1961年のベオグラード、1966年のハバナを経てヴェトナム戦争で頂点に達し、やがて暗転していきます。一方で、日本の植民地支配から立ち上がった朝鮮民主主義人民共和国はバンドン会議に参加できず、非同盟諸国会議への参加は1976年に至って実現しました。現代史において眩い光を放った第三世界の時代に果たして朝鮮は「不在」だったのでしょうか。1960年代の歩みを通して考えてみたいと思います。

第6回 2022年12月17日(土)

藤本博「ベトナム戦争における韓国と日本の戦争協力と『加害』認識:『ラッセル法廷』の問いかけの今日的意味」

ベトナム戦争でアメリカの同盟国として韓国が参戦し、日本が後方支援的役割を果たした今日的意味を考えます。「ラッセル法廷」で韓国と日本が「共犯者」として裁かれ、「植民地責任」を問う法理が提起されて同時代の日本ではアジア・太平洋戦争時の「加害」が自覚された点、そして現在問われている韓国軍によるベトナム民間人虐殺に関してお話しします。

第7回  2023年1月21日(土)

高一「7.4南北共同声明とは何だったのか:南北対話の展開と変動する東アジア国際関係から考える」

1972年7月4日、ソウルと平壌において南北共同声明が同時に発表されました。朝鮮に二つの政府が樹立されてから初となる南北当局者による対話の成果でした。しかしながらこの南北対話は翌年春には冷却化し、夏には終わりを告げることになります。いったい何が起こったのでしょうか。今回は、南北それぞれがなぜ対話に臨み、なにを得ようとしていたのか、そしてなぜ対話は継続されなかったのか、70年代初頭の変動する東アジア国際関係との関連も交えて考えてみたいと思います。

第8回 2023年2月25日(土)

趙基銀「在日朝鮮人と韓国民主化運動:反共の狭間で」

70~80年代は、韓国の朴正熙・全斗煥政権が「反共」を口実に強圧的な政治を行い、韓国内はもちろん、在日朝鮮人や海外在住・滞在「韓国人」社会までも抑圧した時期である。その状況のなかで、在日朝鮮人は韓国の民主化のために日本人の支援勢力や海外在住・滞在「韓国人」とも「連帯」しながら闘った。しかし、在日朝鮮人の韓国民主化運動もまた「反共」の名の下で抑圧された。ここでは、在日朝鮮人の韓国民主化運動を韓民統を中心にみながら、運動に「反共」がどのようにかかわっていたのかをみるとともに、在日朝鮮人社会における「反共」の問題を考えてみたい。

第9回 2023年3月25日(土)

石坂浩一「日朝国交正常化をいつまで先延ばしにするのか」

初めての日朝首脳会談があってから20年、朝鮮半島の植民地支配からの解放から80年近く。日本政府は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との国交正常化をいまだ実現できずにいます。植民地支配の清算、そして東北アジア地域における冷戦の終結により、地域の人びとがともに平和を享受するためには日朝国交正常化と相互理解が重要です。今なすべきことを共に考えましょう。

 

2021年度 文化センター・アリラン連続講座<オンライン開催>

2021年度 文化センター・アリラン連続講座(オンライン開催・全9回)

*各回ごとにPeatixでお申し込みを受け付けます。 

加費(各回):一般 1,000円    
           :学生・経済困難のある方・障害のある方 600円

*全9回通し券(7,200円)を用意しております。
通し券をご希望の方は、アリランまでメールでお問い合わせ下さい。

「明治以降の「戦争」への再照明-「15年戦争」史観を超えて」

近年、戦時中日本の強制労働をめぐる戦後補償に再び注目が集まっていますが、はっきりとしてきたのは、日本政府・企業の中国と韓国に対する姿勢の違いです。例えば、三菱マテリアルは、2015年に強制労働させた米国人戦争捕虜・中国人に謝罪と補償を行う意向を明らかにしましたが、強制徴用された朝鮮人については、「法的に状況が違う」と謝罪と賠償を無視しました。

この差は外交上の友好の度合いに基づくものとはいえません。そこには、戦争と植民地支配に対する歴史認識と責任をめぐる落差が存在しています。日本で「戦争責任」というときの「戦争」は、アジア・太平洋戦争か、満州事変以降の「15年戦争」にとどまり、その相手は欧米諸国や中国です。同じ強制労働でも「戦争相手」の米国人・中国人と植民地支配下の朝鮮人とは違うといわんばかりの差が横たわっているようにみえます。

そもそも「戦争責任」が指す「戦争」はなぜ「15年戦争」なのでしょうか。近代日本の「戦争」は、明治以降継続してアジアで行われ、とくに日清戦争以降を「50年戦争」、台湾出兵以降を「70年戦争」と呼ぶ歴史観もあります。また、そのなかで植民地征服・防衛においておびただしい軍事暴力が繰り返され、世界史ではそれを「植民地戦争」と呼ぶ見方も定着してきています。にもかかわらず、近代日本史においてはそのような「戦争」観がなぜかなかなか定着しません。それはなぜなのでしょうか。

2021年の歴史講座は、明治以降の日本の「戦争」への再照明をテーマに、国家同士の戦争だけではなく、東学農民戦争、義和団戦争、シベリアでの革命干渉戦争などにも目を向け、近代日本の「戦争」を多角的に再検討したいと思います。

*開催時間はいずれも午後2時から午後4時半を予定しています。

各回の詳細はこちらのパンフ画像からもご確認下さい。→リンク

第1回 2021年6月26日(土

山田朗「近代日本の戦争とは何か:対外膨張戦略の系譜」

「昭和」戦前期までの近代日本の歴史は、対外膨張と戦争の歴史でした。「台湾出兵
」に始まり、朝鮮半島への侵略、日清戦争・日露戦争と続く道は、欧米列強のアジア侵
略に対抗するものではなく、欧米帝国主義のメンバーに加わることで、中国中心の東ア
ジア秩序を破壊するものでした。また、日清・日露戦争は朝鮮半島と中国を戦場・支配
地とした点でもおよそ「自衛」的なものではなく、対外膨張・侵略路線の現れでした。
本講座では、このアジアへの膨張戦略の起点である「ロシア脅威論」から始めて「韓国
併合」を経て、中国へと膨張する戦略の系譜を追跡し、「昭和」の戦争の路線が「明治
」に敷かれたことを検証します。

第2回 2021年7月24日(土)

浅田進史「植民地戦争としての義和団戦争」

東アジアの20世紀は義和団戦争とともに始まったといえる。この戦争は明らかに19世紀末以降にアジア・アフリカ・オセアニアで本格化した帝国主義列強による植民地化の延長線上にあった。さらに、八ヵ国連合軍という前例のない国際的な軍事介入をともなった点で、まさに世界史的出来事であった。ここでは、八ヵ国連合軍のなかでも最大規模の兵力を派遣した日本軍とドイツ軍の軍事行動を事例に、植民地戦争の観点から義和団戦争を考察したい。

第3回 2021年9月11日(土)

愼 蒼宇「植民地朝鮮における「戦時」とその実態-義兵戦争・シベリア戦争・三一運動から-」

「戦前」「戦後」の「戦」とは、日本では主に満州事変以降の「15年戦争」のことを指しますが、日本の近代が明治維新以降、対外戦争に満ち溢れていたのは周知の事実です。それでも日本近代史、「内地」の政治史の時期区分のなかでは、そこには連続性が見られないばかりか、植民地での軍事行動はその範疇にも位置付けられていないかのように見られがちです。本講演は、植民地朝鮮での苛酷な「戦時」の実態に迫ることで、「15年戦争」史観の問題点を浮き彫りにし、朝鮮半島の150年がいかに「戦争」と不可分の歴史であるかを問い直したいと思います。

第4回 2021年10月2日(土)

北村嘉恵「戦争の記憶と記録 ―台湾先住民族の近代史から」

〈戦争〉という言葉によってわたしたちは何を想起しているだろうか。夏ごとに喚起される記憶があり、意識的・無意識的に封じ込められてきた記憶がある。いくつかの歴史記録を手がかりとして台湾先住民族の近代史と日本との関わりをひもとき、自らの歴史認識を問い返す機会としたい。

第5回 2021年11月20日(土)

中川未来「東学農民戦争はいかに報道されたのか—地域社会における朝鮮観の形成と展開」

東学農民戦争は、近代日本が大陸国家への道を踏み出すにあたり朝鮮の民衆と直接に対峙する大きな契機となりました。最前線に立ったのは四国4県の出身兵であり、東学農民戦争に関する報道は地域社会でも大きな関心を呼びました。その主体を担ったのは、朝鮮の日本人居留地で刊行されていた日本語新聞の記者です。ここでは、朝鮮で活動した日本人ジャーナリストと彼らを送出した地域社会との関係に注目することで、近代日本における朝鮮観の形成と展開を「地域」の視座から捉え直したいと思います。

第6回 2021年12月18日(土)

伊藤俊介「明治以降の日本と朝鮮-日清戦争まで」

明治政府の対朝鮮政策を考えるに当たって、征韓論争とはどのようなものだったのか、日本の強硬な態度に朝鮮政府はどのように対応したのか、日清戦争の真の目的とは何だったのかなど、日韓・日朝関係をめぐるさまざまな疑問についてみなさんといっしょに考えてみたいと思います。

第7回  2022年1月15日(土)

洪昌極「近年の民族運動史論について考える―三・一運動史を中心に」

昨今の韓日の学界では民族運動史をめぐる語りに一定の「変化」が見られます。三・一運動史論のそれはその端的な例であると言えるでしょう。我々はこの「変化」をどのように捉えていけばいいのでしょうか。私の回では、植民地期の朝鮮農民たちが置かれた状況に今一度立ち返ってみることを通じて、みなさまと共にこの問題について考える機会を設けてみたいと思います。

第8回 2022年2月19日(土)

宋連玉「「50年戦争」下の性暴力と性管理-日清・日露を中心に」

植民地における女性の性搾取は多くが「15年戦争」期に限定して研究されていますので、あたかも女性の身体への蹂躙は日中戦争から始まったような受け止め方が一般的です。しかし東学農民戦争時のジェノサイドを想起すると、国家暴力に抵抗する人々を容易に屈従させる方法として性暴力が恣行され、それと連動して性管理が行われたことは想像に難くありません。日清・日露戦争期の性暴力・性管理をテーマにした研究は多くありませんが、軍事主義・植民地主義の本質に性暴力があることを実証的に追ってみたいと思います。

第9回 2022年3月12日(土)

小川正人「「従順ナル人種」という認識-近代日本社会とアイヌ民族—」

近代アイヌ史を知り・考えるにあたっては、近代社会の中でアイヌ民族が置かれてきた状態、言い換えれば、アイヌ民族にとってのマジョリティがもたらした状態を知ることが不可欠です。今回の報告では、私なりのこの問題への接近を、「北海道旧土人保護法」(1899年)制定前後に見られるアイヌ民族を「従順ナル人種」と称揚する議論などから試みます。